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全日本選手権2009.12.27 Sunday
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一昨年までは由希奈さんの応援がメインだった全日本でしたが、今年はさすがに手に汗握る試合でした。
大ちゃん、優勝おめでとうー!まだまだ納得の行く出来ではなかったと思うけど、見事なクラウンでした。中盤のサーキュラーステップは鳥肌モノ。素人目でもわかる密度の高さとエッジの深さ。個人的には一部の選手がよくやる「ステップの途中で止まってポージング」は好きじゃないのですが(なんかずるい感じがして・・)、このステップの綱渡りの部分は大好きで、不可欠だとすら思えます。止まっているわけではなく綱を渡りながら進んでますし。その後のジャグリングのつなぎもいい。
つなぎの部分でも常にクラウンを演じている、ほんとうに細かいところまで練られたプログラム。やっぱり、点を取るプログラムよりも、こういうプログラムのほうが好き。はがゆいけど、好きなんだからしょうがないですね。
後半のルッツの失敗でフリーは2位かと思ったけど、まさかのPCS88点台でTESの点差をひっくり返しました。普段はこういうことが起こると激怒したくなるのですが、今回はちょっとわからなくもないなと思いました。
オーラ、作り出す空気、観る人を引き込む力・・・何もかも段違いです。私はとりたてて彼のファンではなかったし、よく言われる「雰囲気」「色気」「情熱」も、まぁそう思う人もいるよねぐらいの気持ちでした。否定するわけではなくて、自分がそう感じないので心から理解することができなかったんです。
でもなぜだか、今回の「eye」と今シーズンの「道」は、見ていて胸が焦がされる思いでした。他の人のことが考えられなくなるぐらい、圧倒的な力で観る人の心に入り込む。その残像をハートに焼き付けて、忘れさせない。こんなことができるのはきっと彼だけ。ずっとスケートファンの方みなさんが言っていったことが、ようやく理解できました。
小塚選手は演技前に本当にいい顔をしていた。絶対に大丈夫だと滑る前に確信できました。個人的には彼のほうが演技スタイルとしては好きなタイプです。ちょっと前まで出来ていたノーミス演技がまた観たいです。
女子は鈴木さん、五輪代表おめでとう!「転んだけど2位」という速報を観たときはどういう演技だったのかなと思ったけど、ほんとに鈴木さんらしい気持ちの入ったいい演技でした。あの舞台で、ここまで自分のスケートに思いをこめられるのって本当にすごい。まさに心で滑る人だな、とみんなが応援する気持ちがよくわかりました。
あとジャッジスコアを見ると、あの転倒はジャンプが完全に終わった後の転倒(ただ滑っているところでの転倒)と判断されたようですね。ループはGOEで加点も減点もついてませんでした。
一方の友加里ちゃんは冒頭のルッツがガウングレードでステップアウトしたのでGOEで減点、1.3点になってしまいました。さらにルッツにもフリップにも!がついてしまいました。
ただ合計点は0.17点差と僅差。たったこれだけの差なのに、転んだのに鈴木さんが代表なのは納得行かないと言う書き込みも目にしたのですが、鈴木さんが代表になったのは
・GPファイナル出場者
・全日本3位以内
・世界ランキング日本人上位3人
という、3枠目の条件全てで中野選手を上回ったためと思われます。
・GPファイナル出場 → しかも表彰台
・全日本 → 2位
・世界ランキング → 鈴木選手は8位、中野選手は14位
今回、中野選手は優勝できなかった場合、大差で鈴木選手に勝つ以外、可能性は非常に少なかったと思います。その中で、こだわっていたトリプルアクセルもあきらめ、ルッツ×2にフリップ×2という今では女子の上位選手でもやらなくなった構成に挑み、最後まで集中して滑った姿には心を打たれました。
それにしても、中野選手の後にも鈴木選手のあとにも、「五輪が見えてきましたね」とマイクを差し出すフジテレビには絶句しました。中野選手は最終グループ一番滑走なのに・・。ふたりともさすがに大人で「まだわからない」と回答してましたが、どちらかが落選する可能性も十二分にある状態であんな言葉を投げる無神経さに言葉がありませんでした。一体どんな言葉を期待してたんでしょうか・・・。そしてもし「そうですね」なんて回答した選手が落選したらどうしようとは思わないのでしょうか。
・・・まぁそこはさておき、あと一つ驚いたのは安藤選手のジャンプ構成。2番目を3S+2Aのシークエンスにしてきました。そして当たり前のようにクリーンに決めました。
2A+3Tはかなり調子がよくないと決められないしリスクも高いでしょう。でも2A+2Tにすると基礎点は7.5点→4.8点。そこを3S+2Aのシークエンスにすると(4.5+3.5)×0.8=6.4点。1.6点も上がる!1.6点基礎点を上げるのがどういうことかと言うと、3トゥループを3フリップに、3サルコーを3ルッツにするのよりも0.1点あげることができます。これは賢いですね・・・安藤選手のようにフリーをちゃんと滑りきれる体力のある選手(今回はばてたと言ってましたが)なら、2Tが3Sになることでかかる負担はそんなに重くないでしょうし。もともと3+3を跳んでも滑りきる体力はありますものね。そしてジャンプ構成を試合ごとに変えてもちゃんと対応できる。
確実により点数を取るためにどうすればいいか検討するための試みでしたね。安藤選手は4回転跳びたかったと思いますが、そこはさすがモロゾフ。全日本を最大限有効に使わせました。
鈴木選手も+2Aのシークェンスをとぶことで着実に点を重ねましたね。村上佳菜子選手しかり。もっと言うとロシェットもそうですね。
ほんとにモロゾフはそのへんよく考えてる。その点だけはほんとにすごいと思う。GP FINALで失敗したサルコーも、軌道を変えてきちんと降りましたね。
最後についでですが、女子のテクニカルスペシャリストは神崎範之さんだったんですねー。3年前の全日本で、大ちゃんと同じくファントムで魅せた選手ですね。すごくいい演技でした。
そして男子のアシスタントテクニカルスペシャリストは梅谷さん。梅谷さんは2年前の全日本でちゃっかりサインをもらいました。なんか・・・感慨深いです。
いつも以上に見ごたえがある全日本でした。ありがとうございました。
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高橋大輔選手の「道」2009.12.21 Monday
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夜中に目が覚めてTVをつけたら、全日本に向けて高橋大輔選手の特集がやっていて、最後だけちょこっと見ることができました。
練習中の大ちゃん、すごいですねーー。キレッキレのステップにびっくり!試合の何倍もすごいですよー。どこまで傾くのあなたは!すごいディープエッジで冷や冷やするぐらい体を傾けながら次々ステップを踏んでました。あれを試合で見たいなー。後半で体力きついと思うけど、ぜひ見たい。
4回転も試合よりはだいぶ回りきって着氷してる映像もあったような・・。たぶん。ガッツポーズもしてたし。
そして最初のシーンはザンパノが寝起きにつまづくシーンなんですね。かわいらしいのでジェルソミーナだと勝手に思ってました。ってかそんなシーンあったっけか・・・誰につまづいたのか、どっちを演じてるのか、ネットを見てもよくわからなくて。。映画のシーンを覚えてれば一発だったのですが。。
私はとりたてて彼のファンではなかったのですが、今年の彼の演技・プログラムはすごく好きです。モロゾフのプログラムは食傷気味だったというのもあるけど・・・。特にロミオ&ジュリエットは、彼の演技はすごくいいけど、振付はモロゾフもっとちょっと頑張ってよという感じで。。GPFでランビと対比されるともう・・・負けたのはモロ、あんたの振付のせいよ!と私は思ってました。 ・・・あ、脱線。
でもあのシーズンで、モロゾフはもう大ちゃんの新しい才能を引き出すことはできないんじゃないかなと思っていた一方で、やっぱりここまで大ちゃんを引き上げたのはモロゾフだし、彼以外が作るプログラムでどこまで個性の出るものが出来るのかちょっと不安はありました。
でも、08年のDOIで観た「eye」で、そんな不安はふっとびました。宮本賢二さん、あなたは神ですか・・。大ちゃんの全身から放たれる艶やかさはそのままに、「ああ、やっぱモロゾフね・・・」的な毒っけ(ごめんなさい)がさっぱり抜け、彼のいいところが全面に現れたプログラム。太田由希奈さんの「swanlake」以来久々にDOIを繰り返し繰り返し観ました。
「道」は一転、彼の演技力という新しい一面をアピールしようというプログラム。
ザンパノは鎖を胸でひきちぎるという大道芸をするぐらいの荒っぽい大男ですので、ぶっちゃけ大ちゃんの容姿だと「見事に表現している」とは私は思わないのですが。。ただ、この映画の「私は何の役にもたたないんじゃないか」と悩むジェルソミーナ、そんなジェルソミーナに「どんなものでも役にたっている。この小石だって」と気まぐれに励ます綱渡り芸人。そして失って初めてジェルソミーナの大切さに気づき、慟哭するザンパノ・・。浅はかで身勝手で、なんどもひどいことをしながらそれでも愛されるザンパノ。綱渡り芸人はふと優しい言葉をかけることもあるが、決してできた人間ではない。何度も逃げ出したいと思いながらも、自分の「道」はこれだと信じ、ザンパノに尽くすジェルソミーナ。
そんな不完全だけど、どこか身近に感じられて憎めない主人公たち。うまくいかないことだらけだけど、時々少しだけ幸せな日々。
大ちゃんの「俺を見ろ!」全開の色気たっぷりの演技も好き。でも、結果的にではあるけれど、自身の集大成の年にこの「道」を演じてくれることが嬉しい。人生ってこういうもの、を表現したプログラム。つらいことだらけでも、やっぱり輝かしい。
「道」はまだ未完成のプログラム。私は心から、このプログラムが完成するのを観たいです。4回転を決め、ザンパノの悲しみを氷上に爆発させたのち、歓喜の涙にくれる姿を。
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今さらだけどモロゾフの発言について思うこと2009.12.13 Sunday
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いまさらながら、モロゾフが自身の教え子である安藤選手・織田選手が一足早く五輪内定を得たことで、他のコーチに嫌味とも取れるような発言をした件について思ったこと。
モロゾフがこの手の発言をするのはいつものことなので別に驚かないし、自分でもびっくりするぐらいこの手の発言にいらっとしたこともないのです(むしろ笑ってしまう)・・。ってかいつも矛盾だらけだし今回も案の定ツッコミどころ満載で・・・いつの頃の作曲家の曲が云々にはつっこむ気すら起きないのですが、個人的に思うとっころがあったのは、モロゾフは確かに結果を出したけど、今回ももう何年もお約束の安全策路線だったという点。
もちろん今回は他の選手の出来から見て、安藤選手も織田選手も大技に挑まなかったのは正しい戦略だったと思います。特に安藤選手は、まだ調子が上がりきっていないという内容のことを本人も言っていたので、ここで博打をうつようなことはしてほしくなかった。
織田くんもしかり。4回転を成功させ、他の要素も全てミスなくまとめるという、プルシェンコ休養以降ほんの数人しか成し遂げられていないことを織田くんが成功させる可能性。大ちゃんが4回転に失敗し、他の要素にも影響をきたして大きく点数を失って、2位か、あわよくば1位に躍り出る可能性。どう考えても後者に掛けるべきだとモロゾフは思ったに違いない。
今年は大技に挑戦する選手が結果を残せず、今までできていた技にも自信をなくしていっているようにすら見える様子を目にして、いつか大技を成功させるためにもモロゾフの戦法はいいのかもとちょっと思ったりもしていました。失敗して自信を失ってしまったらもともこもないし、安藤選手のように本人ができると信じている状態でぐっと耐える試合が続いたら、いざ跳べることになった試合では、失敗のイメージもなくただ跳べる!というわくわくした気持ちだけで挑めるのではないかと思ったから。
でもやっぱり、安全策を取らせて2位に踏みとどまらせたことで、「どうだ!俺が正しいだろう」と自信満々のモロゾフを見て、やっぱりなんだかなーと思っちゃいました。
コーチとしてはそれで正しいと思う。五輪の内定を得た上で全日本に臨めれば、そこで大技に挑戦しておくこともできる。GPFに照準を合わせて調整したのに、そこで内定を得られずすぐ全日本が来てしまっては、出るだけ損になってしまう。だからなにより内定を優先したモロゾフは正しい。
でもやっぱり、4回転も3回転3回転も、もともと跳べる実力があるからっていきなり跳んで成功できるものではないはず。何度も何度も挑戦して出きない選手がほとんどだし、ずっとできていても、ここぞという試合で失敗してしまう選手もいる。そんなことはモロゾフは百も承知のはず。だからやっぱり、モロゾフは勝つために大技をやらせることは今後もない。「大技はできるようになっておく必要がある」。それは成功させて勝つためではなく、ライバルにプレッシャーを与えるため・・・。
多くの選手は、自分ができる最高の技を成功させることで、最高の演技をしたライバルに勝てるようにプログラムを組んでくる。でもモロゾフは、上位選手がノーミスのパーフェクトな演技をできる試合が、そう多くはないのを知っている。特に世界選手権や五輪では、まずないとふんでいる。
繰り返しになりますがコーチとしてはそれが正しいと思うし、ベストよりは難易度を落としてでも、安定した演技を見せてくれると、ファンの精神状態としても助かります。審判にいい印象を残すこともできると思う。
・・・でもみんながみんなそういう演技をするようになったら、どうなってしまうんでしょう?
ほっとした、やり遂げたという充実した表情で終わる演技も、応援してきた身としては嬉しいものがある。でもやっぱり私は、06年世界選手権でジュベールやランビエールが見せた渾身のガッツポーズが見たい。6位に沈んだ五輪から1か月ほどしかたっていない世界選手権で、4回転を2度決め、「マトリックス」をパーフェクトに演じたジュベール。そんなものすごい演技のあとで、苦手なトリプルアクセルを降り(回転不足でしたが)、4回転を同じく2回決め、トリノの何倍も素晴らしい演技をしたランビエール。総立ちになるカナダのオーディエンス。最高の出来栄えに喜びを抑えられない表情。
トリノ五輪での荒川選手は、自分が五輪で何をしなければならないか、よくわかっていたのだと思います。日本代表として、恥ずかしくない演技をしなくてはならない。確実にメダルを狙える演技をしたい。最高の舞台で、最高の終わり方をしたい・・。
私も真夜中、眠い目をこすりながら起きだして荒川選手の演技を見て、ほんとうにいい演技だったなと涙を流しました。なんどもなんども繰り返してあの「トゥーランドット」を観ました。だから、あそこで3回転-3回転に挑戦してほしかったとは、今でも全く思いません。あの演技が印象に残らないとも思わない。ご飯一杯分だとも。
でも私がフィギュアスケート、好きだなぁと思ったのは、演技後に選手がガッツポーズをして喜び、点数を見て涙する、あの姿でした。
だからやっぱり心に強く残るのは、05年世界選手権のスルツカヤの演技や、ソルトレークのヤグディンの演技、06年世界選手権のキミーの演技・・・
大技に強いこだわりを持ち、勝てる試合で勝ちを逃してしまう選手たちを見て、もう少しぐらい計算高くなっていいんじゃないかと思うときもあります。
でも選手たちが目指しているのが、目先の勝ちや実績よりも(そこも目指してほしいという欲もありますが)、そういう自分が目指す最高の演技なのだと思うと、やっぱり私はそんな選手たちを応援したい。
モロゾフの安全策路線は、他の選手が「最高の演技をしたい」という気持ちを勝負より優先してくれているからこそ成り立っているものだと思います。全員がモロゾフ路線をとったらここまでうまくはいかないのではないでしょうか。
確かに、「安全策で勝てる(それも、どの程度の安全策で誰にまで勝てるのか」を見抜く力はすごいと思う。そしてその選手がどこまでできるのかを冷静に見極め、確実に狙ったとおりの点を取れるプログラムを作るテクニック。そしてジャンプに自信をつけさせる指導力はうらやましくなるほどです。
でも、どうせなら選手が限界ぎりぎり演技まで成功させられるように指導してほしいというか・・勝ち方にたけているからといって、あまりに自信満々なのはどうかと思います。こういう人だからしょうがないけど。
勝つことだけを考えたら賢くないかもしれない。でも私は長光コーチが言ったという「自分で限界をつくっちゃだめ」という言葉に心を打たれました。モロゾフの言うとおりにしていたら、あの後もモロゾフについていたら勝てた試合がいくつもあったかもしれないけど、大ちゃんのコーチがそういう人でよかったと思うし、自分の好きな選手はぶっちゃけモロゾフについてほしくありません・・。安藤選手はむしろ今はモロゾフよりもずっと大人でしっかりしているから、モロゾフのいいとこどりをできる感じがするので安心して見ていられますが。
モロゾフが「安全策では勝てない」とうろたえる試合を見たい。最高の演技をしたいという選手の気持ちを応援したい。間違っていなかったと証明してほしい。
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中国杯 アイスダンス フリーダンス2009.12.11 Friday
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やっと半分です。でもまだアイスダンスだけ・・・。。
ホフロワ&ノビツキーの「ポーリュシカ・ポーレ」は日本でも聞き慣れたメロディのロシア民謡(ソヴィエト連邦時代に作られた曲らしく、厳密に言うとロシア民謡ではないのかも?)。ロシア内戦時の赤軍の活躍を歌った軍歌だそうです。真っ赤な生地にゴールドのラインが入ったインパクト大の衣装は赤軍の旗をイメージしているのでしょうか。ソビエト連邦の国旗の色でもありますね。ロシアの人がこの曲を選ぶのにどういう思いがあるのかは私には想像できませんが、軍歌というイメージにはぴったりの強い表現のプログラム。ホフロワのアクロバティックなポーズもよく合います。特に最初のリフトの逆立ちポーズには唖然としました。すっごい・・。こんなことできるんだから他のリフトももっともっと独創的にできるんじゃないかと欲が出てしまいますが、2人の気迫が感じられて印象に残るプログラムでした。ラスト、ホフロワがノビツキーの足を叩いて喜んでる姿に嬉しくなりました。
ファイエラ&スカリの「The Immigrant (ニーノ・ロータ / ゴッドファーザーより)」もよかった。今まではなんとなく、身長差の少ないカップルがよくやるリフトが多いなーなんて思ってたのですが、このフリーはリフトの入り方に工夫が感じられて、ファイエラの身のこなしも軽やかで、全体的な流れも音楽にあっていて素敵でしたー。ベルビン&アゴストは、去年はトスカという選曲を聞いた時点で食わず嫌いしてしまったのですが、今回の「Ave Maria/amen」は結構好きでした。2人で祈りを捧げるって雰囲気がよく出てました。
でもでも、今回のMY FAVORITEはケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ボジェの「Phantasia」!すごくすごく美しいプログラムでした。ラストの2つのつなぎのリフトがハイライトです!
1 RoLi4 (ローテーショナルリフト)
→女性が膝をついている状態から持ち上げて回転させます。入り方がとってもスムーズです。
2 Cist3 (サーキュラーステップ)
→なめらかで、男性が女性をリードする感じが出ていて素敵。後半の部分で女性が男性の後ろについて男性の背中に手を置いている部分が映るのですが、そんな一瞬の手のつき方がとってもキレイ!
3 Stw4 (シングルナイズドツイズル)
→物語の急転を告げるような音色とともに回転の早いツイズル。いい!
4 CoSp4 (コンビネーションスピン)
→一瞬メロディがゆっくりになったところでスピン。スピンなのでツイズルよりは若干回転は遅いので、音の変化にすごくよく合ってるー。
5 CuLi4+RoLi4 (カーブリフト+ローテーショナルリフト)
→唯一このカーブリフトが残念。どの組でも出来そう・・・(失礼)。変えませんか?ここだけでも!
6 Dist2 (ダイアゴナルステップ)
→Masquerade の壮大な音色に合わせてリンクの端から端へステップ!こういう曲調でステップを踏まれるのが、ベタだとわかりつつすごいツボなんです。レベルは残念だけど、構成としてはかなり好き!
7 CuLi4 (カーブリフト)
→こっからがハイライトです!シンプルだけど独創的で、曲を壊さない美しいリフト!
8 Li+TRANS
9 Li+TRANS
→ここからは基礎点のつかないリフト。でもこれが音楽にすごく合っていて、2回とも「わぁ・・・」ってため息ついちゃいました。アナウンサー大興奮。そんなに難しそうな動きじゃないんだけど、持ち上げます!って感じのリフトじゃなくて、純粋に曲に合わせて動いている感じなのが素敵。あー、素敵なプログラムだわ・・。
この組はオリジナルダンスで大きなミスをしまてしまい出遅れたので、前半の組で滑ったのですが、会場はすごい盛り上がりで、テレ朝のアナウンサーもびっくりしてました。ほんとに素敵だった!
技術的なことはわからないんですが、たぶん密度としては濃くないんだろうしスケーティングもまだ浅くあっさりした感じなのでPCSは主に6点台。基礎点にならないつなぎのリフトがこれだけ素敵でも、このレベルの評価だとPCSには活きないですね・・・勿体ない。。でもスケートカナダでは3位表彰台だったみたいで嬉しい!地元カナダの観客もこのプログラムなら大いに湧いたことでしょう。あー、早くスケートカナダまで観なきゃ!
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グランプリファイナル終了2009.12.06 Sunday
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初日以外はTVで観戦。でも初日の観戦で、これまでとは違ったまっさらな気持ちでフィギュアスケートが見られるようになりました。間近で見たことで、試合の緊張感というものがひしひしと伝わってきましたし、TVだと軽く飛んでいるように見えるジャンプも、振動がほぼそのまま伝わるほど近くで見られたおかげで、どれだけ大変でリスキーなものか感じることができました。ノーミスで滑ることがどれだけ難しいことか改めて感じることができました。「この人だからこのくらいできるだろう」なんて予想も、その人が位置についた瞬間、「ここから何が起こるか全くわからない」という緊張感に変わりました。どの選手も全員がノーミスで滑れるよう、ただただ祈るのみでした。
<アイスダンス>
GPシリーズの勢いそのままに、メリル&チャーリーが優勝。会場でODを見たときはツイズルで明らかなミスが出てしまったし、前に滑ったのがテッサ&スコットだったせいでこれまでのような段違い感も出ず、いつものダイナミックさもちょっと少ないかなとか思ってたのですが、蓋を明けてみたら1.7ポイント差をつけて1位。ツイズルは減点のもとになるどころか、レベル4に加点がついており、テッサ&スコットはレベル3にとどまったので、むしろここが勝負の分かれ目になっていました。
私が「ジャッジはわからないんじゃないか」と思った原因はまさにここでした。テッサ&スコットのPCSは5項目全てメリル&チャーリーより下だったんです。いくらなんでもそれはないだろうと。確かに特にODのプログラムは、「フォーク・カントリー」という課題に対してフラメンコという王道路線を選択してきたテッサ&スコットよりも、インド民族舞踊という独創的な選択をして見事に演じきったメリル&チャーリーに軍配を上げるのには納得ですが、「skating skill」や「linking footwork &movement」も含め全て勝っているというのは・・。どの専門家の目から見てもそうなのかというと、必ずしもYesじゃないんじゃないかなと。だからジャッジがだめだというのではなく、やはりジャッジの判断というのは一部の人の評価であって、PCSも優劣がつけがたい場合は、TESや総合評価にひっぱられたりするもんなんだろうなと。だから試合によっても違いますし、今回の評価が次の試合でがらりと変わることもありうるんだろうなと思いました。
で、メリル&チャーリーもよかったけど、今回個人的No.1をあげたいのはテッサ&スコットでしたー!もちろん贔屓目もあるけれど、今年はプログラム選びの時点でメリル&チャーリーに負けてるんじゃないかと心配していたのですが、どうしてどうして素晴らしいフラメンコでした!白い肌と強い目力から放たれるテッサのオーラ!情熱的な表情にキレのある動き。これでもかと詰め込まれた要素を、2人がスムーズにスピーディーにこなしていく様子はほんとに見事でした。これまでスタオベのときはちょっと左右を見回してからたっていた私でしたが、今回は気がついたら立って拍手を送ってました。忘れられない演技になりました。テッサ&スコット、本当にありがとう。
<ペア>
応援していた川口悠子&アレクサンドル・スミルノフでしたが、やはりコンディションが万全でない中、要素要素で細かいミスが出てしまい、最下位発進となってしまいました。でもふたりの息のあった同調性は見るたび進化しているし、加速するタイミングまでぴったりあったソロスピンはほんとに見事でした。お疲れ様でした。
ダン・ジャン&ハオ・ジャンは、SPはミスなく滑ったもののやっぱりちょっと元気のない感じ。フリーは珍しいミスを連発して総合6位となってしまいました。ハオ・ジャンは終わった直後から「あー、もうっ!」って感じの表情でキス&クライからもすぐ去ってしまいましたし、何が起きているのか心配です・・。
ムホルトワ&トランコフは素晴らしかった!今年は飛躍の年ですね。生で見たSPはツイストの高さに度肝を抜かれました。FSの「ある愛の詩」はムホルトワが以前から滑りたかったプログラムだそうで、思い入れのある曲でここまでいい演技ができていてよかったです。惜しくも総合4位でしたが、終始キレのある動きでジャンプのミスもなく、ユーロが楽しみでなりません。
パン&トンも素晴らしかった!SPはムホルトワ&トランコフとどっちが上だろう・・・とどきどきしていたら意外にも辛い採点でびっくりしましたが、スピンがノーカウントだったんですね。フリーは文句無しにすごかった!NHK杯では若干慎重に行き過ぎてるような印象も受けましたが、今回は勢いもあり、ジャンプを降りたあとの流れもすーっとのび、スピンもぴったりと合っていて、力のこもったいい演技でした。オンラインリザルトを見たときは高い点数にびっくりしましたが、演技を見て納得でした。
サフチェンコ&ソルコヴィーはまだ本調子でないようですね・・。SPは小さなミスはあったもののすごく素敵なプログラムだったと思うのですが、フリーは見ていてちょっとひやひやしました。でも去年同様、ここからまた調子を上げてきてくれることを祈ります。
申雪&趙宏博は圧巻でした。「この人達が一番だ」という雰囲気を作るってこういうことなんだとすごくよくわかりました。SPは他の組も大きなミスはなくいい演技でしたが、素人目にも彼らの完成度の高さはよくわかりました。どの要素も本当に危なげがなく安定していて、どの動きもスムーズで隙がない。フリーはコンビネーションジャンプでミスがあった上にスピンも揃わなかったし、結構ミスはあったとうに見えたのですがそれでも世界最高得点が出たということは、やっぱり現地で見るとSPと同じようにずばぬけたオーラがあったのだろうなと思います。
あれだけいい演技をしたパン&トンに総合で10点以上もの差がついたことで、やっぱりジャッジが判定しているのは点数ではなく順位までだなと理解することにしました。男子でも4回転無しでプルシェンコのPBに迫る点が出ましたし、点数がインフレするのはもう今年3月以降の傾向なのだろうなと。女子を見ていてインフレする試合としない試合があったので心配していましたが、上位選手が揃った今回の試合でSPは全体的にインフレ傾向でしたし、ペアでも男子でも高得点が出ていたことでやっぱり特定の国の選手だけが不当に優遇されているとは言えないなと。回転不足判定で甘いときと厳しいときのブレが激しいという印象はやっぱりありますが、「こんな素晴らしい演技に、回転不足なんてもので傷をつけるのはもったいない」と思わせるしかないのだろうなと感じました。スポーツ競技としていい加減ではありますが、そういう競技なんだと思うしかありません。
<女子>
キム・ヨナ選手、セカンドの3Tが1回転になるミスは何度か見ましたが、1つ目のジャンプがつまって2回転に留めるというのは私が見た中では初めてだったかもしれません。びっくりしました。2A+3Tも完全に回転不足でしたね。
ただ安藤選手は3Sが2回転判定になってしまいましたので、ジャンプの数が1個少ないような点数になり、そこが勝負の分かれ目となりました。日本開催とは言え、キム・ヨナ選手とほぼ差のないPCSをもらったことはすごいです。今回は動きにキレがあり、気合も入っていて、ジャンプも高くてTVで見ても迫力がありました。ジャンプの難易度はNHK杯と変わらなかったのですが、明らかに調子があがってきている様子が伺えました。五輪内定おめでとうございます。
鈴木明子選手、素敵でした!日本開催でなくても絶対に表彰台だったと思える演技でしたね。心をこめて滑っていることがTVからも伝わってきました。公式練習でもほぼ通しで滑ってくれましたし(通常は部分的にしか滑らないようです。他にたくさんの選手が滑ってますから本来の軌道では滑れませんし、常に周りに人がいないか気をつけなければならないので当然だと思います)、ここにいられることが幸せ!という気持ちがしっかりと伝わってきました。表彰台、おめでとうございます!
アシュリー・ワグナー選手も素敵でしたー。スケートが好きな気持ち、曲を大切にする気持ちが伝わってきて好感が持てます。後半の3Fでバランスを崩したのと、ルッツのエッジエラーで他の加点が帳消しになってしまい残念でした。でもだいぶ最後まで体力が持つようになってきて、これから確実に上位にくいこんでいく選手になりそうでですね。全米選手権はコーエンやフラット、そしてジャンや長洲選手もいますし、キミーもいるとおもうと激戦になりそうですが、頑張ってほしいです。
ロシェット選手とレオノワ選手は残念でした。キス&クライであんなふうに涙を長す選手を初めてみました。辛かったでしょうが最高の舞台で戦った経験を糧に強くなってほしいです。
<男子>
ジョニー、よかったよーー!思うような演技ができず、ライサチェクに全米王者の座を奪われただけでなく世界選手権も先に制されてしまい落ち込むこともあったでしょうが、何とか自分の演技を取り戻しつつあるように見えます。全米選手権は去年悔しい思いをしたリベンジの場。頑張れジョニー!
アボットもよかったですねー。サン=サーンスの交響曲第3番 オルガン付き、今回の6人のプログラムの中では一番好きです。壮大な音楽が、彼の正統派でかつダイナミックさもある滑りによく合いますね。NHK杯は大変なことになって演技終了後にすごい顔(でも激しく落ち込むよりああいう表情をしてくれたほうが、観ているほうは助かる)をしてましたが、今回はほんとによかった。全米ではとにかく順位が気になると思うので4回転にトライできるかわかりませんので、ここで挑戦しとくのは間違いじゃなかったはず。回転はしてたし、あとちょっとでしたね。がんばって!
大ちゃんは残念でした。オンラインリザルトを見たときはあまりのTESの低さに凍りつきましたが、演技を見るとそんなにぼろぼろではなくほっとしました。スピンが2つ0点になったことと(FCCospという同じ略号のスピンが2回になってしまったこと、単一姿勢のスピンが入らなかったことが原因でしょうか)、他の選手がGOEで大量加点を稼ぐ中、4Tで転んでしまったことと他の3つのジャンプで着氷が乱れたことで他の要素の加点を失ってしまったこと、上位3人が3回転+3回転を2回入れてきた中で1回も入れられなかったことなどでこれだけの点差がついてしまいました。ただ演技全体は崩れることなく、PCSは2項目め以外で8点台を揃えましたので、心配はいらないなと思いました。次は全日本、がんばってほしい!
ライサチェクは4回転無しの路線でこれからも突き進むのでしょうか。うーん。SPでノーミスだったこと、FSを1回のミスにとどめ、息つく間もない素晴らしいスケーティングを見せてくれたことで、彼が一番なことに異論はないのですが。アメリカも日本みたいにGPFで表彰台なら五輪内定とかあるんでしょうか?もしそうなら、今回順位を取りに行ったのは正しい選択だと思いますが。やっぱりコンディションが万全じゃないのでしょうか?彼が金メダルを狙っているなら、4回転を飛んだ上で獲ることを目標にしてくれてるといいなと思うのですが(たぶんそうだと思いますが)。 追記:ネットを回遊していたらアメリカでは「GPFは選考に影響(具体的に何位だったらどうとかは示されていない)」という記事を見ました。それならやっぱり優勝を優先するのが正しい選択ですね。
織田くんもよかったですね。五輪内定おめでとうございます。ところで最近ネットの書き込みやなんかで「トリノのときは全日本で優勝して一度内定したものの、あとで順位がひっくり返って内定を逃した」というのをよく見るんですが、たしか織田くんは例の前シーズンからの成績をポイントに換算して積み上げる「ポイント制」の点差で、優勝しても大ちゃんに追いつかなかったと記憶しているんですが、違ったでしょうか。。五輪の選出はポイント制が前提でしたし(それで安藤選手も6位ながら選出されたわけですし)、優勝のあとに一度内定だと告げられるようなタイミングがあったのかな?
ベルネルはもう・・・頑張ってとしかいいようがありません。ルッツの失敗以降は振り付けさえまともにこなせていませんでしたが、やる気がなかったというより頭が真っ白になったんだと私には思えました。年が変われば風向きも変わると思うので、ユーロに向けて切り替えてほしいです。
今回間近で見て思ったことの一つは「演技が大きく見えることが大事」でした。中野選手も以前「大きく見えるように演技したい」と言っていましたが、あのだだっぴろいリンクで、表情も必ずしも全部は見えない中で、ジャッジに好印象を与えるには演技を大きく見せて印象をよくすることが大事というのがすごくよくわかりました。鈴木明子選手はTVで見るとキム・ヨナ選手と比べて遜色ないぐらい素晴らしく見えるのですが、現地で間近で見ると、どうしても動きが小気味よいせいなのか、小さくまとまってしまうような印象があるんですよね・・。実績もあるけど、そこがPCSで差をつけられる要因でもあるかなと。うまく言えないんですが、安藤選手やキム・ヨナ選手は確実に大きく見えるんです。スケートがいかに伸びるかということろにもちょっと関係しているのかなと思います。なので、ライサチェクはそのスタイルだけですでにアドバンテージがあるな−と思ったのでした。
今回のGPFは、現地での観戦がいい経験になりました。川口悠子&アレクサンドルスミルノフ、申雪&趙宏博、バネッサ&ポール、ケア兄弟、ペシャラ&ブルザ、テッサ&スコット、メリル&チャーリーにも周りを気にせずぬいぐるみを投げ込めて大満足。どの選手もお疲れ様でした。しっかり休んで、シーズン後半に向けて頑張ってください。
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初めての最前列に大興奮!グランプリファイナル2009.12.05 Saturday
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グランプリファイナル観戦に、代々木体育館へ行ってきましたー!今までアリーナ席で観た事は結構あったものの、最前列は初めてでした☆特に最前列で観たいと思ったことはなかったのですが、これまでの私のねじまがった煩悩をすべて払拭してくれるような、心が洗われるような、素敵な体験でした。
観たのは初日だったので(だからアリーナのチケットが取れたのですが)、会場は半分も入ってなかったかもしれません。でも観るに値する大充実の内容でしたー。
−男子公式練習
−女子公式練習
−JrペアSP
−Jr男子SP
−SrペアSP
−SrアイスダンスOD
です☆
何より一番忘れられない体験になったのが、男子の公式練習!最初はみんな体を温めるためか、外周を何度もすーっと回るのです。だから・・・皆近い!大ちゃん、目の前!!絶対やりませんが手を出せば触れました。
そして、近くで見ると、皆ほんっとーーーに格好いい!!大ちゃんは独特の雰囲気があるし、アボットは顔が小さくて清楚な顔立ち。ジョニーの美しさは言うまでもなく、3枚目だと思ってたベルネルは長身でオーラでまくり。好みじゃないとか思ってたライサチェクも、10頭身にも見える長身と長い手足がかっこいいことかっこいいこと!織田君はテレビで観たまんまだったけど(笑)
もちろん、顔だけではなく、皆すさまじく滑りがきれい!ステップ軽快!スピン早い!みんなほんとにうまくて感動的でした。こりゃジャンプの出来で差がつなかないと順位つけられないよなーという感じ。
続いて女子の公式練習。これを観たとき、私は心の中でキム・ヨナ選手に土下座しました。もちろん不満を持っていたのは彼女本人に対してではなくジャッジにだったのですが、今回3年ぶりに彼女を生で観て、どうしてこんなにもジャッジに愛されるのかが、少しだけだけどわかった感じがしました。
GPファイナルに勝ち上がった選手達の中でも、彼女は際立って見えました。ジャンプの軽やかさ、美しさが他の選手と全く違って見えるんです。他の選手はやっぱり、踏み切るときの力み方からも着地のときの振動からも、多少なりとも体の重さ、力頼みで体を回していることが見て取れるんですね。でもキム・ヨナ選手はそれが全く感じられないんです。信じられないほど軽やかに、3回転−3回転を飛んでいました。手足の動きも細かいところまで神経が行き届いて美しく隙がなく、目が離せませんでした。
あと、もう一人心の中で土下座したのは安藤選手。正直好みじゃないなぁと思ってた彼女のルックスですが、間近で見たらかわいらしかった・・。一生懸命一生懸命3回転−3回転を練習する姿も、とっても好感が持てました。
すっごくキレイで感動したのがアシュリー・ワグナー選手!色白で、この若さでありながら気品さえただような美しさに、すっかり虜になってしまいました。ちょっとふっくらしてきたかな?と思った体も、タンクトップから出ていた腕の筋肉隆々加減を見て、「すごい・・!」とつぶやいてしまいました。
で、キレイ!とかかわいい!とかばかりの感想になってしまいましたが、やっぱりTVで観るのと、現地で間近で観るのでは印象が全然違うということ。近くで観られて感動してしまってほだされてる部分もあると思いますが、やっぱりさえぎるものもなく至近距離で、どの振り付けも基本的に自分の方を向いてやってもらえるジャッジの印象と、TVなどで観る印象とはやっぱり違ってくるのだろうなということを強く感じました。
また、今まで私は何でここまでえこ贔屓としか思えないようなジャッジが行われるんだろうと不思議に思っていました。9人とかいるジャッジ全員に不正を働かせるなんて非現実的だし、自国の選手もいるジャッジが他国選手の不正に加担なんてしたら、本人が心を病むんじゃないかと思うし・・。ってこんなこと考えるのもくだらないですね。
何が言いたいかと言うと、今回選手達を間近で見て思ったのは、
・ジャッジでも、数いる選手を比較してどちらが上か、わからないときもあるんじゃないか?
(だってこの部分はこの選手が上だけど、こっちの部分を見るとライバル選手の方が上・・・なんてこともあるだろうし)
・だから、審判の間で「あの選手がよかった」「この選手のここが素晴らしい」と話題になると、影響されて「確かにいいかも」といいところばかり印象に残るようになるのではないか?
(日常生活でもそんなことあるような・・・)
・そんな中で、公式練習その他でその選手の調子のいい様子を見ていると、試合でイマイチな出来でも、どうしても低い点をつけるのに抵抗が生まれ、ついついPCSだけでも高くつけてしまったり・・・
(のど自慢の鐘の数もリハーサルの時点で決められてるらしいですし ←一緒じゃ困るんですが)
という、まぁただの想像なのですが、そんなところでした。
荒川選手がトリノのシーズン、しきりに言っていたのは「インパクト」でした。勢いのある若手選手に負けないために何ができるか。インパクトのある演技をすることだと。そこを追求した末、彼女は手を離して3秒保つあの素晴らしいY字スパイラルを披露しました。私はジャンプや要素のレベルじゃなくて、インパクトなの?と当時は首をかしげましたが、今ならなんとなくわかります。
木戸さんも、テッサ&スコット達の強みは何かと聞かれたとき、「自分達が一番だという雰囲気を作るのがうまい」と言っていました。なんか技術は未熟だというニュアンスも若干感じますが、きっとその雰囲気を作ることが一番難しく、この競技のミソなのかもしれません。大ちゃんも「こいつが一番でいいだろ」と皆が思う演技がしたいと言っていますね。
もちろん要素で点を取ることは不可欠。ただ、ジャッジは人間なので、回転が4/1足りているかどうか、常に同じ基準で判断することはできないはず。明らかなやつはだめですが、「これは足りてるのかどうか・・」という微妙な判定のときに、「足りてるってことでいいや」と思わせる勢いづくり。「この加点は1点か2点か・・・」と迷ったっときに、2点をつけさせる雰囲気づくり。そういう部分が大きい競技なのだなとなんとなく思いました。書いてみると当たり前のことですね。上の選手達が言いたかったのはそういうことじゃないかもしれませんが・・。
今回一番感じたのはそういうところでした。「ジャッジはわからないんじゃないか」ということ。例えば今回のメリル&チャーリー VS テッサ&スコット の結果について、ジャッジ以外の、例えばコーチや他の選手達にどっちが上だったかを聞いたら、だいぶ意見が分かれるんじゃないかな?と思いました。人によって好みも思い入れも、重視するポイントも違うでしょうから。専門家であればあるほど、意見は割れるんじゃないでしょうか?
だから勝ったメリル&チャーリー達のいいところを見つめて、ここを高く評価されたのだなと思うことにする。今回のジャッジの評価は、あくまで1つの意見。違う意見を持つ人はいっぱいいる。でもその1つを勝ち取らなきゃいけないから、選手達は「こいつが一番だ」と思わせるためのインパクトを求める。
今回女子の試合結果を見て、確かにSPで2つの大きなミスをして、65点は高いなとも思う。でもこれまで8点や9点台をつけてきた彼女に、急にイマイチな演技をされてもいい印象が強すぎて、いきなり低いPCSをつけようとしても体がついていかない(それじゃだめだと思うけど)。そんなもんなんじゃないかと思いました。
コストナーのように、3回転+3回転を完全に回りきることができ、ルッツとフリップのエッジも正確で表現力もある・・・そんな完璧な選手でも、試合でミスを繰り返して行くうちに、評価が下がってしまう。大きな試合で優勝して実績を作ったり、いい成績を継続して出していくうちに、評価が上がっていく。藤森さんがホフロワ&ノビツキーに対して「ヨーロッパチャンピオンというネームバリューである程度点が出てる」というようなことを言ったこともありました。そんなもんなんです。ある選手が1位で他の選手が2位な理由を、ジャッジは完全に論理的には説明できない。
そう思ったら、なんだかものすごくすっきりしました。そうはいってもSPの大量リードでフリーで3回失敗しても勝てるような状況を作ってしまう採点はやっぱりどうかと思うけど、でも順位はおそらく真っ当についていると思うし、こういうスポーツなんだと思うしかありません。
ソルトレイクシティで銀メダルを獲得した清水宏保選手の言葉が、今も記憶に残っています。といいつつぼんやりな記憶なのですが、金メダルの選手にフライング疑惑がありました。確かもう一方の選手が一瞬滑るのをやめてしまったぐらい、フライングすれすれ(と言っておきましょう)のスタートでした。スピードスケートでフライングといったら、フィギュアでスピンの認定が甘いとか回転があやしいとかとは比べ物にならないほど重要なポイントのはず。それでも清水選手は、「どんな状況でも勝つのが一番の選手。」と言い切りました。
私みたいな素人ファンがぎゃーぎゃー言ってる中で、選手達はきっと、清水選手と同じ気持ちで頑張っているに違いありません。常に自分の演技に集中している選手達だから、そもそもジャッジがおかしいなんて思ってもいないかもしれませんね。
おかしいことにはおかしいと発言することも大事だと思いますが、私はルールも熟知していない素人ですし、順位が明らかに不当でない以上ジャッジに文句を言うのはやめなければ、といまさらながらに思いました。こんな世の中ですが、まかり間違って選手達が私なんぞの書き込みを見てしまう可能性も0ではないですし、そのときに「ジャッジがおかしい」と不満の言葉がひしめいているよりも、「点数はよくわからないけど、心に響くいい演技でした」と選手の自信につながるようないい言葉が並んでいるほうがいいな、と思うので(いつまで続くかわからないけど・・・)
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